最近読んだ本

『魔王』伊坂幸太郎

魔王と呼吸の2本立て。呼吸は魔王の主人公安藤の弟の彼女によって語られている。日本をファシズムへと導こうとする政治家、犬養に安藤は自分の思ったことを、他人にしゃべらせることができる超能力を使い、犬養を止めようとし、そして情報を取捨選択し、自分の意見を持つことができなく、先導されやすい日本国民の目を覚まさせようとする。

自分的には伊坂幸太郎作品の中で(まだ読んでいない、グラスホッパー、チルドレンを除く)1番おもしろくない。

魔王

魔王

『終末のフール』伊坂幸太郎

8年後に小惑星が落ちてきて地球が滅亡すると発表されて5年後。犯罪がはびこり、秩序は崩壊した混乱の中、仙台市北部の団地に住む人々は、いかにそれぞれの人生を送るのか。人生の終わりの期限が決まってしまった人々が淡々と日々をすごすさまが描かれている。
娘とけんかをした父親の話、終末のフール。

決断力のない富士夫、太陽のシール。アナウンサー杉田に復習をする、籠城のビール。

両親が亡くなり、父親の本3,000冊を読むことを決意し、部屋に閉じこもる、冬眠のガール。

余命わずかなのにキックボクシングジムに通う話、鋼鉄のウール。

自殺を決意していた矢部に大学時代の友人二ノ宮から新しい小惑星を見つけたと電話がかかってくる、天体のヨール。

孫娘、姉、親を実際の人生で演じる劇団員の話、演劇のオール。

隕石がきても生き残るんだとマンションの屋上に櫓を建てている父親を持つ、レンタルビデオ屋の渡辺、深海のポール。の8つの家族の話から成る連作短編集。


それぞれの話が密接に絡み合いながら話が進んでいく。傑作。

終末のフール

終末のフール


『砂漠』伊坂幸太郎

砂漠に雪を降らせて見よう。

主人公北村を中心に友人の鳥居、南、西嶋、東堂が織り成す大学4年間の青春小説。大学4年間を 春夏秋冬の章立てで綴る。社会という砂漠に出る前の大学生活というオアシス。通り魔強盗と空き巣事件を核に物語りは進む。そのほかにも、合コン、マージャン、ボーリング大会など普通の大学生の、平凡な毎日が織り込まれる。

今自分が大学生、しかも4年生でこれから社会(砂漠)に、ポンと出される立場にあり、とても共感できた。キャラ設定がしっかりしていくので、それぞれの登場人物にも感情移入ができる。

「その気になればね、砂漠に雪を降らすことだって、余裕でできるんですよ」西嶋のこの言葉にはぐっと来る。伊坂作品には名セリフが多いが『砂漠』には名セリフが詰まっている。青臭さが詰まっている。


はずれのない伊坂幸太郎の中で、間違いなく1番。

砂漠

砂漠

『陽気なギャングの日常と襲撃』伊坂幸太郎

陽気なギャングが地球を回すの続編。人間嘘発見器成瀬が遭遇した刃物男騒動、演説の達人響野は「幻の女」を探し、正確無比な“体内時計”の持ち主雪子は謎の招待券の真意を追う。そして天才スリの久遠は殴打される中年男に―史上最強の天才強盗4人組が巻き込まれたバラバラな事件。だが、華麗なる銀行襲撃の裏に突如浮上した「社長令嬢誘拐事件」と奇妙な連鎖を始める。

僕的には前作のほうが好き。

陽気なギャングの日常と襲撃 (ノン・ノベル)

陽気なギャングの日常と襲撃 (ノン・ノベル)

『ぜつぼう』本谷有希子

俺は絶望してるがゆえに俺なのだ。

読みやすい。字もでかいし、175ページ。外人とお笑いコンビを組み「ロシア人の鼻は本当に高いのか計りに行く二人」という企画で一発当てるが、その後は売れなくなり、人間不信に陥った主人公が、見ず知らずの女と二人で暮らさなくてはならなくなる、丸々電波少年のような話。

ぜつぼう

ぜつぼう

竜馬がゆく司馬遼太郎

全部で約3200ページながらもおもしろさにぐいぐい引っ張られ、さくさく読める。竜馬が日本史にいないと他のアジア諸国のように、日本はなっていたんだなと。同時代の『世に棲む日日』『最後の将軍―徳川慶喜』を読みたい。

新装版 竜馬がゆく (1) (文春文庫)

新装版 竜馬がゆく (1) (文春文庫)

新装版 竜馬がゆく (2) (文春文庫)

新装版 竜馬がゆく (2) (文春文庫)

新装版 竜馬がゆく (3) (文春文庫)

新装版 竜馬がゆく (3) (文春文庫)

新装版 竜馬がゆく (4) (文春文庫)

新装版 竜馬がゆく (4) (文春文庫)

新装版 竜馬がゆく (5) (文春文庫)

新装版 竜馬がゆく (5) (文春文庫)

新装版 竜馬がゆく (6) (文春文庫)

新装版 竜馬がゆく (6) (文春文庫)

新装版 竜馬がゆく (7) (文春文庫)

新装版 竜馬がゆく (7) (文春文庫)

新装版 竜馬がゆく (8) (文春文庫)

新装版 竜馬がゆく (8) (文春文庫)